活躍する女性医師

現役ママが活躍する職場。育休と時短制度で仕事と子育てを両立

聖マリアンナ大学病院小児科学教室における教室員のおよそ1/3が女性であり、その約半数が子育て中です。女性医師は出産後に、1年間の育児休暇を取得。職場復帰の際は、時短制度を利用します。
時短制度は、基本的な勤務時間は週5日・午前9時~午後5時。当直勤務も免除され、時間外労働も大幅に軽減されます。
特に女性医師が数多く活躍する小児科では、小児科の「時短枠」が追加設定されており、出産後も仕事を続けやすい環境が整っています。

「育休制度はあるものの、取得しづらい…」という声も珍しくありませんが、当小児科には育休や時短制度を利用しづらいといった空気は一切ありません。
複数名の女性医師が同僚より早く退勤しても、「お疲れさまでした」と笑顔で見送られるのが日常の光景です。
このように子育てに対して周囲の理解が得られるようになったのは、時代の流れももちろんありますが、長年に渡って女性医師たちと歴代医局長の間で話し合いの場が持たれ、職場内の相互理解を少しずつ深めてきた結果といえるでしょう。今では複数回の育休取得や職場復帰もスムーズになり、医師の仕事と子育てが充分に両立できるようになりました。もちろん、男性医師が育休を取得することもできます。

子育て中であっても、高度で専門的な医療チームの一員

当小児科ではチーム医療を実践しています。子育て中の女性医師も医療チームメンバーとして臨床に従事し、他のメンバーの理解と協力のもと、先進的な医療を実践しています。時短制度を利用した勤務であるが故に臨床医療の最前線から外されるといったことはありません。大学病院なので心臓疾患、血液疾患、悪性腫瘍など疾患別に専門領域を研究し、専門分野のスペシャリストを目指すことも可能です。

多彩で障壁のないキャリアアップへの道

当小児科には子育てをしながら大学院へ進学し、研究に取り組んでいる女性医師や、学会でシンポジストを務める女性医師、実績が評価され昇進する女性医師などが複数在籍しています。職場での待遇は、男女関係なく本人が希望すれば平等にチャンスがもらえる環境があり、「子育て中だから」「時短枠で当直を担当していないから」といった理由で、進学・研究・昇進の機会が奪われることもありません。例えば、海外の学会の場合、他大学では若手医師がなかなか参加できないという話も聞きますが、当小児科ではあくまでも実績を重視。アメリカ、トルコ、オーストラリア、イギリスなどの学会で女性医師が発表を行った実績があります。

女性医師のキャリアパスについても、医局長や教授などが親身になって話を聞きますので、進路も相談しやすい雰囲気です。研究、学会発表、臨床においても、さまざまなサポートや指導を受けられるなど、若手医師が成長できる土壌が整っています。なにより子育てしながら活躍する先輩女性医師の姿が、若手のロールモデルとなるでしょう。

活躍する女性医師を大学が組織的にサポート

聖マリアンナ医科大学では、2015年4月に「男女共同参画キャリア支援センター」を設置。性別に関わりなく、あらゆる活動に参画する機会を確保し、誰もが個性と能力を充分に発揮すること、仕事や学業と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現することを目標としています。
同センターの主な支援策には、育児休業や「時短枠」を設定した「妊娠・出産・育児期関係」、家族の介護に対応する「介護期関係」などがあります。例えば、院内には医師・看護師優先の「大学病院マリアンナさくら保育園」が開設されており、7:30~18:00の基本保育に加えて、残業時・緊急時の延長保育や病児保育にも対応。「こどもが発熱しても預かってもらえる」「職場に近接しているので親子とも安心」という利用者の声も多く聞こえてきます。さらに2017年10月以降、院内保育園の拡充が計画されています。

今では隔世の感がありますが、かつて子育て中の女性医師は、「当直できない人材はいらない」と職場から敬遠されていた時代がありました。医師の仕事を継続できる環境が整った今、小児科として提言したいのは、「働く女性医師のこどもが悲しい想いをしないよう、仕事環境を整えることも小児科医の大切な使命である」ということ。医師としての使命を果たしつつ、自らのこどもを大切にできる環境を確立することが当小児科の目標でもあります。